そんな風にもたれてい
人という字は、人が二人寄り添っているのだと
小学校で教わった。
「人間、一人では生きてかれへん。ようできて
んねん」
と、先生が感銘していたが子供心ながらに無理
だと思った。たんでは、
まるで依存し合っているかのようで前にも進め
ない。こんな基本中の基本である字を私はやっ
ぱり大地に足を踏んばりしっかり正面を向いて
いる一人の人間と見たかった。
良い大人の見本としての先生の立場も分かるよ
うになった今、そう今さら、その真相が知りた
くなった。
読めないながらも象形字典という中国語サイト
を見てみると、これが面白い。
二人支え合って、はどうやら間違いで一人の人
間が横から形象されているようなのだ。
甲骨文(紀元前18−11世紀)、つまりカメ
の甲羅に刻まれて残っているこの文字は、人と
いうより前かがみで腕もだらんと垂らして猿っ
ぽい。
百歩ゆずっても、ゴルフのパターの握り方の悪
い例のようでもあり、この姿勢で重い物を持ち
上げると腰痛めますヨ、の注意の札のようでも
ある。
もしかして、人類への進化途中?
ともしたら人という二本の線からなるこの一字
は、人の直立二足歩行の歴史より古いのかも。
私たちの遠い遠い祖先が手で先のとがった石を
握りしめて、二足で歩き始めた自分たちをカメ
の甲羅に落書きして、キャッキャ喜んでいる姿
が目に浮かんでしまう。
ん? なんか平和。可愛いな、人間。